骨粗しょう症とは、
骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
古くは古代エジプト文明時代からある病気なのですが、
近年寿命が延び、高齢者人口が増えてきたため特に問題になってきています。
日本では、約1,000万人の患者さんがいるといわれており、
高齢者人口の増加に伴って、その数は増える傾向にあります。
骨の構造から見ると、皮質骨よりも海綿骨で骨の量の減少が明らかです。
海綿骨の量が減ると、複雑にからみあったジャングルジムのような網目構造がくずれて、
あちこちでジャングルジムの「棒」(骨梁:こつりょうといいます)が
なくなっていくので、骨が弱くなるのです。
骨が弱くなると、ちょっとしたことで骨折しやすくなります。
骨粗鬆症が問題になる理由をあげますと,次のようになります。
●高齢者の寝たきりの原因のうち約20%が「骨折」といわれています。
中でも「大腿骨(だいたいこつ)」という太ももの骨の骨折が問題となります。
つまり、骨折をきっかけに寝込んでしまうと、
骨折が治った後も自力で歩くことが困難になってしまうのです。
●背骨が圧迫されてつぶれていく(圧迫骨折といいます)と、背中が丸くなり
内臓が圧迫されるため消化不良や便秘になったり、
食べたものが食道に逆流しやすくなり胸焼けがしたりします。
●背中や腰などに、骨折に伴う痛みが出てくることがあります。
●痛みのために日常生活での動作が制限され、行動範囲も狭まってしまいます。
○予防について○
身体の中に入ってくるカルシウムより、出て行くカルシウムのほうが多ければ、
当然骨のカルシウム量は減っていくことになります。
すなわち、体のカルシウム貯蔵庫である骨から、
どんどんカルシウムが出て行くことになるのです(収支がマイナスに傾く)。
逆に、入ってくるカルシウムのほうが多ければ、
骨を増やすことが期待できます(収支がプラスに傾く)。
また、ピークボーンマス(人の一生のうちで最大の骨量)を
若い時期にできるだけ高くすることが大切です。
たとえて言うなら貯金が100万円あった場合と70万円しかない場合に、
同じようにお金を使っていったら先になくなるのは70万円しかなかった方です。
骨量でも同じことが言え、骨の貯えが多ければ多いほど、
閉経・加齢などにより骨量が減っていっても余裕がでてくるのです。
食事・運動・生活環境に気をつけることで、
骨量の減少をくいとめたり骨折を避けたりすることができます。
毎日コツコツ積み重ねて、骨粗鬆症を予防しましょう。